なるほど告知欄じゃねーの

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投下代行スレ

202 :風と木の名無しさん:2012/09/16(日) 15:21:23 ID:w8ZOxc4w0
数日後。ウィルはまだ教団を離れられずにいた。
医師の見立ては間違ってはいなかった。一日もすると体の疲れも取れ、自由に動き回れる様にまで
彼は回復していた。信徒達が留めだてしたわけでもなかった。彼らは常に一人以上ウィルの側にいたが
行動を制限するようなことはなく、専ら身の回りの世話に専念していた。ウィルが頼めば
すぐに水や書物を用意してくれる。頼めば、教団内外の事情について丁寧に教えてくれる。
おそらくウィルが頼めば、帰郷の用意もしてもらえただろう。だがそれを教団側から提案されることはないと
彼にはわかっていた。
教団はウィルを、必要ならば再び神への捧げ物にしようと考えている。それはあの日、呆然と傷跡を見るウィルを見つめる、司教の眼差しが雄弁に語っていた。
ここに留まる以上、ウィルはそれに従うということになる。
彼の触手への嫌悪感は、決して消えてはいなかった。
それでいて彼は、ここを離れる決意が出来ずにいる。
ウィルの気持ちを迷わせているものは、一つはわき腹の傷跡だった。一見古傷のような白い傷跡が
動かしようのない事実として体と記憶に刻み付けられている。
そして、もう一つ。ウィル自身があまり認めたくない後ろめたさ。
思いは複雑に絡み合い、ウィルの足をこの場所に押し留めていた。


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